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解析学

解析学について

微分や積分は解析学と称されます。旧課程の教科書では「数学一・基礎解析・代数幾何・確率統計・微分積分」と分かれていたのですが、新課程の現在ではこれを適当に纏めてあります。このうち基礎解析とは、多くの函数や方程式、微分や積分を扱う分野(というか微分積分の前に履修するべき分野)でした。

なぜ微分や積分は解析学と呼称されるのでしょう。この分野では、多く、ニュートンやライプニッツの業績が讃えられます。従ってその解析対象は、まさしく、自然科学を解析するために生まれたのです。現在では函数自体を解析するなんてこともありますが、そもそも解析学とは、変化する量がどのように変化しているのかを考えるためにあるのです。

なおこの微分・積分の発見、どうも時代的必然であったようです。幾らかの発見に概して云えることかもしれないけど、人類が条件を満たしたとでもいいましょうか、ほぼ同時期に違う学者が発見してるんですね。現代数学の系譜であるニュートンやライプニッツに埋もれた、關孝和とかを忘れないであげてほしい。

既存の項目

微分・・・重複。どうしよう。ちなみに積分?は無えぞ。

必要な知識

第一に種々の函数の取扱い方。線函数、抛物線函数、橢円函数、双曲線函数、円函数、指数・対数函数、と高校レベルであっても数多い函数を取扱うが、どれひとつ欠けてはならない。

次に極限の性質。\lim_{\theta \to 0 } \frac{\sin\theta}{\theta} = 1 とかは、常識であると認識せねばならない。

更にまた、\lim_{\theta \to 0 } \frac{\sin 2\theta}{\theta} = 2\lim_{2\theta \to 0 } \frac{\sin 2\theta}{2\theta} = 2 のように変形するといった事も、忘れてはならない。

準備篇 - 極限について

\lim_{h \to \infty} (1+\frac{1}{h})^h = e\\ \lim_{\theta \to 0 } \frac{\sin\theta}{\theta} = 1

知識として憶えるべき数値は、上二つ。後は「発散」「収斂」条件の理解と「中間値の定理」の理解をしてくださいな。

極限の処理について不可解な点があるとすれば、つまり「発散」「収斂」条件の厳密な證明が知りたいと謂う御仁は「ε-δ 論法」を調べてみるように。極限の性質がよくわかる論法である。この論法の重要な点は「誤った解釈を冒さないで済む」と云う点であるが、高校生程度の数学ではパズル的な感覚で解く外は無いと云わざるを得ない。

譬えば「任意の函数 f(x) の極限が a の時、f(cx) の極限は幾らか」と云った問題は、sinθに関する式の上掲した変形でもいいけれど、数学的な不安は一抹遺る。その不安を払拭してくれるのが「ε-δ 論法」だ。「発散」「収斂」条件が間違っていたりすると、下掲する導函数の性質が悉く間違いであったなどと謂う恐ろしい結果を生み出しかねないので、慎重にならざるをえないわけ。

解析学に関するサイトとか

比較的分り易い(と思った解説のなされたページ)。證明をメンドイから割愛した部分は参照するとよろしい。

目次

初等解析 - 微分篇

微分とは読んで字のごとく、細分化する作業。解析学について述べた「変化する量がどのように変化しているのか」ってのがポイント。

微分法とは

抛物線は一様な変化をしないため、よく例題として取り上げられます。ここでも例によって、y=x^2 のグラフPを眺めながら微分法を考えます。

x012345
y01491625
Δy/Δx-13579-

物理を初めて習った時、実験データの解析(移動距離と速度)で図を書かされた事を思い出して、上の増減表を用意してみました。変数 y を変数 x で解析してみましょう。なおΔ(delta) はdifference「差」を意味します。

変数 x が同じ値(ここではΔx = 1)だけ変化した時、変数 y はどのように変化しているでしょうか。それを列挙してみたのが Δy/Δx = Δy の部分です。どうにも等差数列になっていて、どこかしら規則性があるように思えます。

次に変数 x の変化量を Δx と置き、y の 変化量 Δy とその平均変化量を考えます。上の図では、平均変化量を「Δy/Δx」と表記しました。Δx=1 で解析していたので、平均変化量 Δy/Δx は y の変化量 Δy に等しいとしても良かったのですね。

x→x+Δx の時 y+\Delta y=(x+\Delta x)^2 ですから、Δy の値は、\Delta y=(x+\Delta x)^2-x^2= \Delta x(\Delta x + 2x)と与えられます。これは数式を変化させただけですから、自明だと思われます。

次に Δy/Δx を求めてみましょう。明らかに \frac{\Delta y}{\Delta x} = 2x + \Delta x です。これは何を意味する式なのでしょうか。

もし仮に、Δx が微細であるとき、つまり変数 x の変化量が僅かであるならば、Δx は 0 に近似します。つまり Δy/Δx = 2x という近似式が得られるのです。微分法とは、「ある変数の変化量が微少変化であるとき、その変数で定義される函数の変化量は幾らか」を求めるものなのです。

微分法の利用

連続したグラフ上の二点間を結んだ直線の傾きは、その二点間の平均変化量(Δy/Δx)を表しています。グラフP の場合で、その事実を確認してみて下さい。x が 1から3に変化したとき、平均変化量 4(=9-1/3-1)は、たしかにx=1とx=3の二点間を結んだ直線の傾きとなります。このことはとても重要な事実です。

変化前の点を点S、変化後の点を点Tとしましょう。先程の Δx が微小変化量であるときの仮定は、グラフ上の二点すなはち点Sと点Tが近接することを表します。つまり点Sが点Tに一致すると看做せる事から、「近接二点S-T間の平均変化量(Δy/Δx)は、点S(=点T)における接線の傾きである」と看做すことができます。

譬えば P の場合、Δy/Δx = 2x という近似式が求まりましたが、この式に点S の x 成分の値を代入すると、点Sにおける接線の傾きが求まります。次節からはこの事に関して、より詳細な検討を始めます。また以上の説明はだいたい教科書に載っているような説明の抜萃であって、そういう書籍を参考にしてください。委細承知? それは失礼した。

微分係数の定義と函数の連続

微分とは微分係数や導函数を導出することを謂う。

\lim_{x \to a} \frac{f(x)-f(a)}{x-a} = \lim_{h \to 0} \frac{f(a+h)-f(a)}{h} = f'(a)

函数 f(x) において上の極限が存在するとき、「f(x)は x=a で微分可能である」と謂い、極限を f'(a) と書き表してこれを「x=a における微分係数」と謂う。微分可能な区間が実数全域に跨がることは、数多く存在する函数からみると稀であって、だからこういうややこしい言い方をする。

f'_+(a) = \lim_{h \to +0} \frac{f(a+h)-f(a)}{h}
f'_-(a) = \lim_{h \to -0} \frac{f(a+h)-f(a)}{h}

更にまた y = 1/x などは、x=0 の前後では全く異なる値を取っている。この前後はデカルト平面におけるグラフでみるとx=0の左右にわかれる。だからx=aの微分係数を、左側微分係数 f'_-(a) と右側微分係数 f'_+(a) と呼び分けて考える。左右の微分係数が一致する区間における函数は「連続である」と謂い、微分可能である。譬えば f'_-(a) = f'_+(a) とならないと、x=a における微分係数 f'(a) は、どちらの値を採用すればいいのかわからなくなるでしょ? 

つまり函数が連続でなければ、接線の傾きや平均変化量と謂った数値も求まらないわけで、その区間で微分はできません。ただし函数が連続であっても、必ずしも微分できるわけでもありません。

導函数の導出

\lim_{h \to 0} \frac{f(x+h)-f(x)}{h} = f'(x)

微分可能な函数の微分係数を、微分した変数で表すことができる場合があります。この函数を導函数と謂います。明らかに連続な函数の場合、上の極限によって導函数が求まります。

また、さっきまでΔで表してた表記を、数学における微分法では d で表記します。y=f(x) の導函数は f'(x) =\frac{dy}{dx}= \frac{d}{dx} f(x) といった具合で、dy/dx なら「yをxで微分する」という意味になります。ライプニッツの考案した表記法でとても便利。

種々の導函数

手始めに三次方程式までの導函数を考えてみましょう。言うまでもありませんが、定数項は変数に対する変化率 0 なので、定数項の導函数は 0 です。

(const)' = 0, \ (x)' = \lim_{h \to 0} \frac{(x+h)-(x)}{h} = 1

一次の場合は簡単ですね。

(x^2)' = \lim_{h \to 0} \frac{(x+h)^2-(x)^2}{h} \lim_{h \to 0} \{2x + h\} = 2x

二次も簡単でした。勘のいい人は何か感づいて居られるかもしれませんが、三次の場合もみてみましょう。

(x^3)' = \lim_{h \to 0} \frac{(x+h)^3-(x)^3}{h} \lim_{h \to 0} \{3x^2 + 3xh + h^2\} = 3x^2

三次も簡単でしたね。つまりn次な方程式は、n-1次な導函数になるわけです。実のところ、これは二項定理から明らかです。

(x+h)^n = x^n + nh \cdot x^{n-1} + h^2 \cdot R(x)

x+h の n乗を展開してみると、二項定理から上式に変形できます。R(x)はxの適当な函数です。これを導函数の定義に当て嵌めてみると、

(x^n)' = \lim_{h \to 0} \frac{(x+h)^n-(x)^n}{h} = \lim_{h \to 0} \{nx^{n-1} + h \cdot R(x)\} = nx^{n-1}

n が自然数の時の n 次方程式が、どのような導函数をとるかということは、以上のことから求まりました。実数域に及ぶ證明は、「n次方程式」を参照して下さい。

合成函数

y = f(u),\ u = g(x),\ \frac{dy}{dx} = \frac{dy}{du} \cdot \frac{du}{dx}\\\{f(g(x))\}' = f'(g(x))\cdot g'(x)\\ (u^n)' = nu^{n-1}\cdot u'

なんだこれ第一弾。ようこそ微分方程式の世界へ。初めて見たときは、おそらく意味がわからないと思われるので、例題を解いて考えてみて欲しい。

證明:\frac{dy}{dx} = \frac{dy}{du} \cdot \frac{du}{dx}

増分をΔx、Δy、Δu とおく方式をとりましょう。定義から \frac{dy}{dx}=\lim_{\Delta x \to 0}\frac{\Delta y}{\Delta x} = \lim_{\Delta x \to 0}(\frac{\Delta y}{\Delta u} \cdot \frac{\Delta u}{\Delta x}) とできます。
u は x の函数ですから、\Delta x \mapsto 0 の時 \Delta u \mapsto 0が成立します。従って、\frac{dy}{dx}=\lim_{\Delta u \to 0}\frac{\Delta y}{\Delta u} \cdot \lim_{\Delta x \to 0}\frac{\Delta u}{\Delta x} = \frac{dy}{du} \cdot \frac{du}{dx} が成立します。

応用例題:y = f(u),\ u = g(x) はおのおの u の函数・x の函数として無限回微分できる。
この時、合成函数 y = f(g(x)) が、微分方程式 \frac{d^2y}{dx^2} = \frac{d^2y}{du^2}(\frac{du}{dx})^2 + \frac{dy}{du} \cdot \frac{d^2u}{dx^2} を満たすことを證明せよ。

この例題は、初学者にとってはかなりむづかしいので、「多変数函数」まで読んでから戻ってきて下さい。

逆函数

\frac{dy}{dx} = \frac{1}{\frac{dx}{dy}}

わけのわからん数式を書き換えただけじゃないかと謗らないで欲しい。この変換はとても重要なわけでして。これが成立することは、「微分法とは」あたりから「d」の意味をじっくり理解していただくと、よくわかると惟う。

例題:y=\sqrt[4]{x} を微分せよ。

y^4=x なので、x を y で微分すると、\frac{dx}{dy} = 4y^3 が得られる。従って、\frac{dy}{dx} = \frac{1}{\frac{dx}{dy}} = \frac{1}{4y^3} = \frac{1}{4\sqrt[4]{x^3}} となる。

導函数の性質

\{kf(x)+lg(x)\}' = kf'(x)+lg'(x)\\ \{f(x)\cdot g(x)\}' = f'(x)\cdot g(x) + f(x)\cdot g'(x)\\ \{\frac{f(x)}{g(x)}\}' = \frac{f'(x)\cdot g(x) - f(x)\cdot g'(x)}{\{g(x)\}^2}

有理函数の導函数は、函数の積の導函数から導くこともできます。

\{\frac{1}{f(x)}\}' = \frac{-f'(x)}{\{f(x)\}^2}

分子が 1 や定数になる場合の導函数も憶えておくと便利。これは有理函数の性質から得られる特殊解です。

\lim_{h \to 0} \frac{f(x+h) - f(x)}{h} = f'(x)\\ \lim_{h \to 0} \frac{g(x+h) - g(x)}{h} = g'(x)

任意に微分可能で導函数の定義から上の極限が成立するとき、

\{kf(x)+lg(x)\}' = \lim_{h \to 0} \frac{\{kf(x+h) + lg(x+h)\} - \{kf(x)+lg(x)\}}{h}\\ \ \ \ = \lim_{h \to 0} \frac{k\{f(x+h) -f(x)\} + l\{g(x+h)-g(x)\}}{h} = kf'(x)+lg'(x)

線型性は容易に證明されます。函数の積の導函数はどうでしょうか。

\{f(x)\cdot g(x)\}' = \lim_{h \to 0}\frac{f(x + h)\cdot g(x + h) - f(x)\cdot g(x)}{h}\\ \ \ \ = \lim_{h \to 0}\frac{f(x + h)\cdot g(x + h) - f(x)\cdot g(x + h) + f(x)\cdot g(x + h) - f(x)\cdot g(x)}{h}\\ \ \ \ = \lim_{h \to 0}\frac{\{f(x + h) - f(x)\}\cdot g(x + h) + f(x)\cdot\{g(x + h) - g(x)\}}{h} \\ \ \ \ = f'(x)\cdot g(x) + f(x)\cdot g'(x)

少し面倒ですが證明されました。この関係をライプニッツ則と謂い、f(x)\cdot g(x+h) の代わりに f(x+h)\cdot g(x) で證明しても構いません。

\{\frac{f(x)}{g(x)}\}' = \big[f(x)\cdot\{g(x)\}^{-1}\big]' = f'(x)\cdot \{g(x)\}^{-1} + f(x)\cdot \big[\{g(x)\}^{-1}\big]'\\ \ \ \  = \frac{f'(x)}{g(x)} + f(x)\cdot [(-1)g'(x)\{g(x)\}^{-2}] = \frac{f'(x)g(x) - f(x)g'(x)}{\{g(x)\}^2}

ライプニッツ則と「合成函数」の導函数により、有理函数の導函数が證明されました。

高階導函数

\frac{d^ny}{dx^n},\ f^{(n)}(x)

導函数が更にまた導函数を持つことがある。導函数を導いた函数から数えて、第一階導函数、第二階導函数など謂う。その表記法は、第n階導函数の場合、上式の通りとなる。階数が小さい内は f'',\ f''' などの表記も用いられる。

媒介変数函数

x = f(t),\ y = g(t),\ \frac{dy}{dx}=\frac{dy}{dt}\cdot\frac{dt}{dx}=\frac{\frac{dy}{dt}}{\frac{dx}{dt}} =\frac{g'(t)}{f'(t)}

「合成函数」「逆函数」で得られた事項を整理すると、媒介変数の関係が満たされるであろうことがわかります。このように媒介変数で表された函数の導函数は、媒介変数に関する導函数を用いて算出できます。つまり導函数も媒介変数で表されるのです。

例題:媒介変数 t がx = 2t + 1,\ y = t^2を満たす。yのxに関する導函数を媒介変数 t で求めよ。

恐らくは \frac{dy}{dt} = 2t,\ \frac{dx}{dt} = 2,\ \frac{dy}{dx} = t と簡単に求まると思います。

多変数函数

F(x,y) = f(x) + g(y),\ \frac{d}{dx}F(x,y) = f'(x) + \frac{dy}{dx}g'(y)

多変数函数F(x,y)をxで微分するにはどうすればよいか。上の例は一例に過ぎない。F(x,y)=f(x)g(y)などの表現もあり得るが、合成函数の導函数などを思いだせば、むづかしいわけではない。

例題:双曲線函数 x^2-y^2=1 における、yのxに関する導函数を求めよ。

\frac{d}{dx}y^2 = 2y\cdot\frac{dy}{dx} なので、2x - 2y\cdot\frac{dy}{dx} = 0 \ \Leftrightarrow\ \frac{dy}{dx} = \frac{x}{y}\ (y \neq 0) と求められる。

例題:函数 xy=1 (x,y は正)における、yのxに関する導函数を求めよ。

y=1/x としてもいいけれど、ここでは \frac{d}{dx}(xy) = x(\frac{d}{dx}y) + (\frac{d}{dx}x)y = x\cdot\frac{dy}{dx} + y,\ \frac{d}{dx}(xy=1) = 0 で解く。整理すると \frac{dy}{dx} = -\frac{y}{x} = -\frac{1}{x^2} となる。

n次方程式(冪乗)

(x^n)' = n\cdot x^{n-1}

n が負の場合は「導函数の性質」での有理函数の導函数から、結局は n が正の場合の導函数に帰著する(證明割愛)。「逆函数」でやった例題から、n が有理数の場合は成立しそうな気配がある(同上)。では、n が無理数だとどうだろうか。無理数でも成立すれば、全実数域で導函数が求まるであろう。

この全実数域での證明には「対数微分法」を利用する(後述を参照)と以外にも簡単に処理できる。

例題:y,x,n が実数の時、y = x^n を微分せよ。

y = x^n\\ \log y = n\cdot \log x \\ \frac{y'}{y}=\frac{n}{x} \ \Leftrightarrow\  y' = n\cdot x^{n-1}\ (= n\frac{y}{x})

これにて「xを底とした実数乗な函数」における導函数の公式が證明されました。

\{(ax + b)^n\}' = an(ax + b)^{n-1}

それから数学Ⅱだと発展的な内容とされる上式も憶えておくとよいでしょう。この式は「合成函数」の微分から求まりますが、残念ながら、数学Ⅱでは合成函数を扱わないんですねえ。まあ自然に憶えちゃう式ですな。

円函数

(\sin x)' = \cos x\\ (\cos x)' = -\sin x\\ (\tan x)' = \frac{1}{\cos^2 x} \ \ (= \sec^2 x = 1 + \tan^2 x)

「導函数の性質」で述べたことから、正接 tan x の證明は、正弦と余弦のそれを以て代えさせていただきます。

\sin (x+h) - \sin x = \sin x(\cos h - 1) + \cos x\sin h

加法定理から上式が得られるので、導函数の定義を利用すると、

\lim_{h \to 0}\frac{\sin (x+h) - \sin x}{h}= \lim_{h \to 0}\frac{\sin x(\cos h - 1) + \cos x\sin h}{h}=\cos x\lim_{h \to 0}\frac{\sin h}{h}=\cos x\\ \therefore (\sin x)' = \cos x

同様にして、

\cos (x+h) - \cos x = \cos x(\cos h - 1) - \sin x\sin h,\\\lim_{h \to 0}\frac{\cos (x+h) - \cos x}{h}=\lim_{h \to 0}\frac{\cos x(\cos h - 1) - \sin x\sin h}{h}=-\sin x\lim_{h \to 0}\frac{\sin h}{h}=-\sin x \\ \therefore (\cos x)' = -\sin x

この程度のことは極限が整理できれば簡単でありますな。ついでこれらの性質から、余接、正割・余割、の導函数も導出できる。

(\cot x)' = -\frac{1}{\sin^2 x}\ \ \{= -\csc^2 x = -(1 + \cot^2 x)\}\\ (\sec x)' = \frac{\sin x}{\cos^2 x}\\ (\csc x)' = -\frac{\cos x}{\sin^2 x}

なんとなく周期性があるわけですね。これらの事は、数学的にも物理的にも重要なことです。それから、正矢・余矢は正弦・余弦を1から引いたものなので、いちいち書くまでもないでしょう。

対数函数・指数函数

(\log |x|)' = \frac{1}{x},\ (\log_{a} |x|)' = \frac{1}{x\log a}\\ (e^x)'=e^x,\ (a^x)'=a^x\log a

対数函数は自然対数の場合底を表記せず、指数函数の e はネイピア数です(本節後述)。常用対数と混乱の無いよう(註:本稿では全般に亙って自然対数と諒解して表記しているが、微分法・積分法の慣習に則っている)。対数函数の導函数が既知の時、「合成函数」の微分法から、

\frac{d}{dx}\log |y| = \frac{y'}{y}

が成立します。この性質は「n次方程式」「指数函数」の導函数を導き、また対数微分法と謂う強力な手段ともなります。「指数函数」の場合は、y = a^x,\ \log y = x\log a であり、y' = y\log a = a^x\log a が成立します。更にまた、a = e の場合を考えてやると、y = \frac{dy}{dx} という何とも不思議な関係式を得ます(「微分方程式」参照)。

(\log_{a}|x|)' = \lim_{\Delta x \to 0}\frac{\log_{a} |x + \Delta x| - \log_{a} |x|}{\Delta x}

さて本丸である対数函数の導函数を考えてみましょう。

\frac{\log_{a} |x + \Delta x| - \log_{a} |\Delta x|}{\Delta x} = \frac{1}{\Delta x}\log_{a} \frac{x+\Delta x}{x} = \frac{1}{\Delta x}\log_{a} 1 + \frac{\Delta x}{x}

極限の対数を整理してやり、ここで h = \frac{\Delta x}{x} と置くと、Δx → 0 で h → 0 であるから、

\lim_{h \to 0}\frac{1}{\Delta x}\log_{a} 1 + \frac{\Delta x}{x} = \lim_{h \to 0}\frac{1}{xh}\log_{a} 1 + h = \lim_{h \to 0}\frac{1}{x}\log_{a} (1 + h)^{\frac{1}{h}}

上式となって、これは収斂することが知られています。この極限に関して、

\lim_{h \to 0}(1 + h)^{\frac{1}{h}} = e = 2.718281828459045\cdots

e と定義すると、計算が楽になります。これを「ネイピア数」と謂い、円周率同様、無理数です(これらの特性は「オイラーの公式」を参照)。新たな極限 e を利用すると、

\lim_{h \to 0}\frac{1}{x}\log_{a} (1 + h)^{\frac{1}{h}} =\frac{1}{x}\log_{a} \lim_{h \to 0}(1 + h)^{\frac{1}{h}} = \frac{1}{x}\log_{a} e

このように整理でき、極限を底とした対数を取ってやると、後々便利です。このネイピア数を底とする対数を「自然対数」と謂います。

(\log_{a}|x|)' = \frac{1}{x}\log_{a} e = \frac{1}{x\log a}

纏めてみれば一目瞭然として a = e の時、対数函数の導函数が計算に利する函数であると理解できるでしょう。

数学Ⅱ で対数函数を扱った際、計算的な技巧としか思えない扱いがなされますが、こうやって微分法の世界から俯瞰してみると、その眺望には驚かざるをえません。ネイピア数という著想、これを底とした函数が、導函数を多く證明し、微分法に大きく貢献しているからです。

他にも導函数が知りたいのですが

他にも知りたいとは、君はなかなかの勉強家であると思われるが、相当な変わり種である。あとは「逆円函数」「複素函数」等であろうか。「複素函数」は「双曲線函数」だとか「双曲線正弦函数(hyperbolic sine)・双曲線余弦函数(hyperbolic cosine)」とか呼ばれる奴だ。「複素解析」で重視されるみたいだけど。「逆円函数」は「arcsin」のような表記もとり、この函数はラジアンを返す「逆函数」と謂うから恐ろしい。「確率論」で登場するらしい。

\log |x| = \{x(\log |x| - 1)\}'

微分すると対数函数になる関係を憶えておくと役立つかもしれないが、「部分積分法」で扱う内容であるし、こういう関係が利するのは積分法においてであるから、まああまり憶える意味はナイと謂わざるを得ない。

接線と法線

y-f(a)=f'(a)(x-a)\\y-f(a)=-\frac{1}{f'(a)}(x-a)

ここまで計算が中心だったけど、そろそろ微分の強みというか、利用法が出てくる。その一つが接線の傾き。

函数 f(x) の微分可能な区間における接線は、x = a において、f'(a) の傾きを持つ。これは「微分法の利用」をよく読めばわかること。次にこの接線は (x,y)=(a,f(a)) を通る。この條件を利用すると、接線の方程式を一般化できる。

法線は接線と直交する直線。直角に交叉する直線同士の場合、それらの傾きの積が -1 になることは学習済であるから、接線と同様に、法線の方程式を一般化できる。

平均値と導函数

閉区間[a,b]で微分可能な函数 f(x)、g(x)と、a < ξ < b な ξ がさまざまな平均値の関係を満たす。これもまた微分の強み、なんだな。

高校の教科書を見てみると、直感的解説だけで、證明が載ってない。テイラー展開等を證明する重要な定理にも関わらず。これはつまり證明がむづかしいことを表してるんだけど、「大学への数学(東京出版)」に掲載されてるのを発見した。これは「斉次/一階線型な微分方程式」の解がどうのとか載ってる位だから、かなり高えレベル。他にもあったような気がするけど憶えてないので、ゴメンネ。

Rolle の定理

f(b) - f(a) = 0 \Rightarrow f'(\xi) = 0

Lagrange の定理の特殊解。ここで f(a)=f(b)=0 としましょう。或いは F(x) = f(x) - f(a) = 0 とでも置き直せば、F(a) = F(b) = 0、また F'(x) = f'(x) ですから、f(a)=f(b)=0 ではない場合も、簡単にこの場合に帰着できます。なので f(a)=f(b)=0 と仮定し、次に f'(ξ) = 0 となる ξ が存在すれば、定理は成立するでしょう。

恒に f'(x) = 0 ならば定理は成立します。f(x) が正の値を取るならば、[a,b]で連続な f(x) の最大値は正です。その最大値を f(ξ) とすれば、f(ξ) > 0 から a < ξ < b ですね(つまり a,b に等しい可能性は無い)。加えて、ここで f'(ξ) = 0 でなければなりません。

x = ξ では、f(x) の変化量 Δf は 0 以下です。ですから、x = ξ 近傍に於て、

  • Δx > 0 とすれば Δf/Δx は 0 以下。導函数の定義から、f'(ξ) は 0 以下(右側微分係数)。
  • Δx < 0 とすれば Δf/Δx は 0 以上。導函数の定義から、f'(ξ) は 0 以上(左側微分係数)。

二つの条件を合算すれば、f'(ξ) = 0 にしかなりませんから、その必然性が示されました。f(x) が負の値を取ったとしても、同じ様に考察できます。

註:これは、極値が存在する場合、一階導函数が 0 に等しい事を利用している。この極値の性質を Rolle の定理等で確認させるか、或いは最初から極値を扱うか、幾つかの方針が存在するけれど、慣れてしまえば上の Δf/Δx 等の考察は然して問題にはならないことでしょう。

註:この定理は、閉区間[a,b]で連続、開区間(a,b)で微分可能としても、成立することに気付く。ただし、一般には、微分可能な区間を閉区間[a,b]まで拡張できるから、結局は同じことになる。

Lagrange の定理

\frac{f(b) - f(a)}{b-a} = f'(\xi)

所謂平均値の定理は Lagrange の定理を指す事が多い。F(x) = f(x) - Ax と置いて、F(a) = F(b) となる様に A を定める。ここでは A = \frac{f(b) - f(a)}{b - a} すると Rolle の定理によつて F'(ξ) = 0 を満たす ξ が a < ξ < b に存在する。F'(x) = f'(x) - A であるから、f'(ξ) = A。よって Lagrange の定理が成立。

註:この公式は導函数の定義に似て居るが、b を a に近づける必要はない。だから「有限増加の公式」などとも呼ばれる。

Cauchy の定理

\frac{f(b) - f(a)}{g(b)-g(a)} = \frac{f'(\xi)}{g'(\xi)}

Lagrange の定理の一般解(g(x)=x)。当然ながら、分母は 0 ではなく、また右辺は分子分母が同時に0とはならないと仮定する。今、F(x)=μf(x)-λg(x) と置き、F(a) = F(b) となるようにμ, λ を選ぶと、Lagrange の定理同様に、證明が簡単になる。

F(a) = F(b) を整理すると、λ = f(b) - f(a), μ = g(b) - g(a) と置くことができる。別に λ = 2{f(b) - f(a)}とかでもいいけど、スカラー倍する意味は無いのでしないだけ。さてこのように定めると、F(x) = {g(b) - g(a)}f(x) - {f(b) - f(a)}g(x) となる。そうするとRolle の定理によつて F'(ξ) = 0 を満たす ξ が a < ξ < b に存在するから、F'(x) = μf'(x)-λg'(x) に x = ξ を代入して整理すると、 {g(b) - g(a)}f'(ξ) = {f(b) - f(a)}g'(ξ)。

ここで g'(ξ) は 0 ではない。若し 0 とすれば、仮定により g(b) - g(a) も f'(ξ) も 0 を取ることができず、仮定に悖理するから。従って両辺を {g(b) - g(a)}g'(ξ) で割ってやれば、Cauchy の定理を得る。

函数のグラフ

今まで考えてきた計算を除き、高校生が一番に微分法を利用するのは、グラフの形状を知ってそれを描くためであると思われる。重要なのは、函数がどの変数に対して連続で、どの変数に対して微分係数が正であるか負であるか、と云ったこと。

以下では変数 x に対して二回以上微分可能な函数 f(x) に関して、y=f(x) が如何なるグラフを描くかを考えてみよう。

増減

一階導函数は函数の変化率を示す。変化率が正の場合、変数 x の増分に対して函数 f(x) の値は増えているという事である。逆に負であれば、函数の値は減っているという事である。

  • f'(x)>0 の場合、f(x) の値は x の増分に対して増加し、これを単調増加と謂う。
  • f'(x)<0 の場合、f(x) の値は x の増分に対して減少し、これを単調減少と謂う。
  • f'(x)=0 の場合、x の増分に対して増減が無い。

これは重要な特性である。譬えばであるが、複雑な方程式の大小比較で役に立つといった利用法が思いつく。

なお変数 x の増分に対しての増減であることに注意して欲しい。どのように連続であるか、と云った問題は、「合成函数」の微分、「媒介変数函数」の微分、などを行った際のグラフの概形を考える際に重要になってくるからだ。他にも「置換積分法」等でも重要であるから、「どのように連続か」の問題は恆に考えて於て欲しい。

極大・極小

曲線の増減が変わる点は、極値と謂って、極大点・極小点の別がある。

  • f'(x) が正から負へ変わる点は、極大点となり、この時のf(x)の値は極大値と謂う。
  • f'(x) が負から正へ変わる点は、極小点となり、この時のf(x)の値は極小値と謂う。

以上の定義を考えれば、f'(x) = 0 となる点を調べあげ、正負符号の変化を調べてやれば、極値を取る点を特定できる。

凹凸

増減は更に凹凸へと分類できる。同じ増すでも、その勢いが「増す」場合と「減る」場合があるわけ。減るも同じ。これで実際にグラフを描いてみると、凹(ヘコ)み凸(フクラ)みがあるわけ。数学的定義は凸函数だ何だで面倒だから、今はそんな理解で宜しいかと。少なくとも、抛物線の形状が「上に凸」「下に凸」程度は聞いた事がある筈。

さて凹凸が増減の増減であることは述べたけど、実際に凹凸たる増減の増減を調べるにはどうすればよいか。察するに「一階導函数の増減」を調べるのだから、「一階導函数の導函数」を解析すればよい・・・とまあお判りになるでしょう。つまり二階導函数の値こそが、凹凸を示してくれるわけですな。

  • f''(x) が正であれば、f'(x) は単調増加。f(x) は上に凹(=下に凸、凹函数)である。
  • f''(x) が負であれば、f'(x) は単調減少。f(x) は上に凸(凸函数)である。

変曲点

曲線の凹凸が変わる所を変曲点と謂う。つまり f''(x) = 0 となる点で、f''(x) の前後で正負符号の変化がある場合、それは変曲点である。

グラフの描き方

増減表なる物が便利でよく利用される。大したことはない、単に式の値を整理するもので、縦に変数と函数を列べ、横に連続な値を取る。てか増減表は導入部分で書いてしまいましたけど、形状を調べるためだから、ちょっと違うんだぜ。

例題:xy 平面上の曲線 y = \frac{x^3 + 4}{3x^2} のグラフを描け。

y' = \frac{x^3-8}{3x^3}, \ y'' = \frac{8}{x^4}, \\ \lim_{x \to +0} y = +\infty,\  \lim_{x \to -0} y = +\infty

定義域は x ≠ 0。だから連続ではない x = 0 の前後は調べる必要がある。また定義域は一般に実数全域であるから、特に制限がないと謂う場合は、無限大等を解析する必要もある。つまり値域の極限を幾らか調べる必要があり、その値は収斂/発散のバラツキが見られるのが一般的。

y = \frac{x}{3} + \frac{4}{3x^2}

今回の場合は式を整理してみると、x に関する極限で、収斂する項と発散する項がある。収斂する項の方が扱い易いから、収斂する項を右辺に取って整理すると、y - \frac{x}{3} = \frac{4}{3x^2} が得られ、両辺の極限がどうなるか考えてみる。

\lim_{x \to \infty}(y - \frac{x}{3}) = 0,\ \lim_{x \to -\infty}(y - \frac{x}{3}) = 0

式をみれば y は発散しているが、その発散の仕方には y = \frac{x}{3} 方向への収斂性がみられると謂うことである。すなはち y = \frac{x}{3} は曲線における漸近線である。ここで曲線のグラフを描くために増減と凹凸、換言すれば極値と変曲点を調べると、以下の表を得る。

x02
y→↑×↓→0→↑
y'+×-0+
y''+×+

ここでひとつ註を。この増減表は一般例の一つであって、書き方は自己流でも構わない。凹凸を含める場合、「⤴」「⤵」のような矢印を用いる方が好ましいのだけど、UNICODE 上の「⤷」とかは全環境で表示できるわけではないようなので、已む無く上下左右を表す矢印で順に示してある(→↑で⤴)。増減だけの場合は、「↗」「↘」を使って曲面の形状は考慮されない。

増減表は凹凸を含めると増減凹凸表とも謂うみたいだけど、そんなのは何だっていい。上図のごとく、正負の符号を書き込んでおくことで、考察し易くなるわけ。解答は・・・Mac OS の人はグラフ計算機、Mac OS X の人は Grapher か classic 環境でグラフ計算機を使って下され。Windows はどうすればいいの? バンドルされてないとおもうから、まあ適当に探してくるがよろし。

グラフの活用法

応用例題:ax = \log x の異なる実数解の数を解析せよ。a は実数定数とする。

随分毛色が違いますなあ、などと謂わないで頂きたい。グラフの形状を調べることで解の可能性を解析するのがこの手の問題の解法であるから、グラフは重要である。

先に解法を述べてしまったけれど、解法には少し癖がある。y = ax と y = log x の交叉する場所を虱潰しに調べてやんよ、と意気込まれても困る。この程度の函数ならまだいいけど、e^{-\frac{1}{4}x^2} = a(x-3) と複雑になってくると手に負えない。ここは、式を整理して、y = a との交点を調べると考えた方がやりやすい。

つまり例題だと a = \frac{\log x}{x} と変形するわけ。こうすると右辺の函数の値域を調べれば、簡単に調べられることに気づく。ちょい待ち、定義域はどうなってるのというアナタは、対数函数の真数條件から、x > 0 であることが問題で暗に示されてることに注目するように。だから、何の注釈もなく、x で割るような真似をしたわけ。右辺を f(x) とおくと f'(x) = \frac{1 - \log x}{x^2} であって、増減表は以下の通り。y = a と y = f(x) の交叉する場所が実数解である。

\lim_{x \to +0}f(x) = -\infty,\\ \lim_{x \to \infty}f(x) = 0
x0e
f(x)×\frac{1}{e}
f'(x)×+0-

調べてみると、f(x) は実数全体を表さないことに気づく。y = a は x 軸に平行な直線であるから、グラフと突き合せてみれば、答えは以下の通り。

  • \frac{1}{e} < a の時、実数解無し
  • a \le 0,\ a = \frac{1}{e} の時、実数解一つ
  • 0< a < \frac{1}{e} の時、実数解二つ

e^{-\frac{1}{4}x^2} = a(x-3) の場合の答えも示しておく。同様の遣り方で解いてみるとよい。

  • a = 0 の時、実数解無し
  • a < -\frac{1}{2}e^{-\frac{1}{4}},\ -e^{-1} < a < 0,\ 0 < a の時、実数解一つ
  • a = -\frac{1}{2}e^{-\frac{1}{4}},\ -e^{-1} の時、実数解二つ
  • -\frac{1}{2}e^{-\frac{1}{4}} < a < \ -e^{-1} の時、実数解三つ

手元のテキストから抜萃したんだが、愛知教育大の過去問らしい。大問一の計算問題とみて、制限時間は 15 分といった所だろうか。

それから。実数解が解析できるということは、函数の大小も解析できるということ。譬えば x と sinx の大小を比較してみると宜しい。x はラジアンすなはち弧度法の範囲で且つ第一象限な円函数とすれば、円函数の定義から x > sinx が成立する筈だけど、実際に微分すれば (sinx)' = cosx が1以下であることから、x - sinx が単調増加であって、x = 0 の時の値がx - sinxの最小値であるから、x - sinx が 0 以上とわかる。と云った具合である。

補稿

高校では習わない表現と分野を纏めたり、ざっくり書いてみた。それでもやはり「対数微分法」「近似式(註:これは範囲内)」「速度」「凹凸」は見ておいて欲しい。

対数微分法

対数函数は解析函数とか呼ばれてるそうですが、大変便利な奴です。

例題:y=\sqrt[3]{\frac{(x+2)^4}{x^2(x^2+1)}} を微分せよ。

力技で解くと絶対に計算ミスをしそうですな。そこで対数微分法の出番です。

補題:\log |y| を x で微分し、例題の函数を対数函数で表せ。

\frac{d}{dx}\log |y|=\frac{d}{dy}\frac{dy}{dx}\log |y| = \frac{dy}{dx}\frac{1}{y} = \frac{y'}{y}
\log y=\frac{4\log|x+2| - 2\log|x| - \log(x^2+1)}{3}

補題は簡単です。後はこれを組み合わせて例題を解きます。つまり対数函数で整理した式の両辺を x で微分してやって、最後に導函数を導くという寸法。

\log y=\frac{4\log|x+2| - 2\log|x| - \log(x^2+1)}{3}\\ \ \ \ \ \frac{y'}{y} = \frac{d}{dx} \frac{4\log|x+2| - 2\log|x| - \log(x^2+1)}{3}\\ \ \ \ y' = \frac{y}{3}(\frac{4}{x+2} - \frac{2}{x} - \frac{2x}{x^2+1})\\ \ \ \ \ \ \ = -\frac{2(4x^2-x+2)}{3x(x^2+1)} \sqrt[3]{\frac{x+2}{x^2(x^2+1)}}

多くの場合、真数条件に拘う必要はありません。対数微分法は冪乗や根や分数の函数の導函数を処理するのに最適となります。この解法を対数微分法と謂います。

速度と加速度

\vec{v} = \frac{d}{dt}\vec{p},\ \vec{a} = \frac{d}{dt}\vec{v} = \frac{d^2}{dt^2}\vec{p}

ベクトルで表した理由は、向きと大きさを表現する必要性があったから。t は時刻であって、ベクトルp・v・aは、時刻によって定まる、t に関する函数で定義される成分を持つ。すると位置ベクトル p は、速度ベクトル v、加速度ベクトル a との間に上の関係を持つ。この事は物理的には重要な事項であるし、その意味は、微分法の定義から明らか。つまり位置ベクトルを定義する函数の導函数は速度ベクトルを定義し、速度ベクトルのそれは加速度ベクトルを定義する。

例題:【等速円運動】xy 平面上で等速円運動を繰り返す場合、原点を中心として半径 r の運動であるとすれば、\vec{p}=\big(r\cdot\cos\theta(t),r\cdot\sin\theta(t)\big) であって、変位 \theta(t) = \omega t + \delta とすれば、初期変位 δ に関わらず、角速度 ω によって \vec{p}=-\omega^2\vec{a} が成立するわけ。この事は、運動の第二法則(F=ma)を考えれば、等速円運動が向心力を有するといった物理法則を示す。

上の例題を見ても、物理的現象を数学的に解析することができている。微分法的発想は至る所で表れるけれど、これを定式化した先人らは偉大であると謂わざるを得ない。

近似式の発見

\lim_{h \to 0} f(a+h) \simeq f(a) + f'(a)\cdot h\\ \lim_{x \to 0} f(x) \simeq f(0) + f'(0)\cdot x

この関係は一次近似式と謂う式の関係である。この直截的解説は「接線の延長線上の点(f(a) + f'(a)h)」と「曲線上の点(f(a+h))」が近接するという意味においてなされる。直截すぎてわからないかもしれないから、数学の教科書を開くか、なにか、するように。

例題:\sqrt[3]{730} を一次近似し、小数第四位まで求めよ。

根の計算法は「開立法(立方根)」「開平法(平方根)」が知られている。が、しかしここでは、近似式を用いる。近似する式は 729 の立方根が 9 であるから、f(x)=\sqrt[3]{x},\ f'(x)=\frac{1}{3\sqrt[3]{x^2}} が適当である。つまりf(9^3+1) \simeq f(9^3) + f'(9^3)\cdot(1) = 9 + \frac{1}{243} = 9.004115226 \cdots という近似ができる。\sqrt[3]{730} \simeq 9.0041 が得られた。ちなみにこれを冪乗してみると、729.996753938921 であって、概ね一致している。近似式がかなりに強力であることを理解して頂けただろうか。

近似式の展開

\lim_{h \to 0} f(a+h) \simeq f(a) + f'(a)\cdot h + \frac{f''(a)}{2} \cdot h^2

更にこれが二次近似式である。a = 0 の場合を考えてやると、一次近似式の二番目みたいになる。二階導函数が含まれることに納得はできるだろうが、2 で割っている意味は、直感ではあり得ると思えても、證明が頗るわかりづらいであろうと思われる。

差し当たっては、随分前に「高校生向けの證明は無いだろうか」と探していたらみつけた遣り方を説明する(どこぞの高校教師が生徒と悩んでいて、後日件の生徒がみつけてきたとかいうことが書いてあった pdf があって、それをメモった写し・詳しくはググれば出てくるかもしれないが、どこか忘れた)。

二次近似式の項は一次近似式と一致する部分がある。これは、一階導函数での値が新たな導函数を考えてやるとどう近似するだろうか、「近似式の近似式」という次元で考察するに他ならない。だから「一階導函数」と「一階導函数における接線」との関係を考えてやるとよい。一階導函数 y = f'(x) が任意の積分区間 0~a+h において正であるとして説明する。

f(a) = \int_{0}^{a} f'(x)\, dx,\ f(a+h) = \int_{0}^{a+h} f'(x)\, dx

この値の関係と一階導函数のグラフにおける面積を考察する。f(a) になる面積は「一階導函数と x=a と y 軸で囲まれた部分の面積」である。f(a+h) になる面積は「一階導函数と x=a+h と y 軸で囲まれた部分の面積」である。「直線 y=f'(a) と x=a と x=a+h で囲まれた部分の面積」は、f'(a)h に一致する。

実際に図を描いて「一階導函数における接線」を引いてやると、気になる部分が表れる。一階導函数と近接するであろう部分である。「一階導函数における接線と直線 y=f'(a) と x=a+h で囲まれた部分の面積」は「高さ f''(a)h、底辺の長さ h の三角形」であって、この面積を計算すると、\frac{f''(a)\cdot h^2}{2} となる。

f(a+h) になる面積は既に図に明らかである。f(a+h)-f(a)の部分は、f'(a)hの部分と、一階導函数に近接した接線の三角形の面積部分とである。だいたいこういうことにおいて、2 で割るという計算が現れた、と意識するとよろしい。

以上これらの関係は、計算するうちに、證明をみるうちに、式を考察するうちに、気づくであろうことだけど、三次近似式、四次近似式が得られそうな気配がある。これは「テイラー展開」等に繫がる考えであって、重要な著想であると云えよう。その詳しい意味はそちらに譲る。また「a = 0 の場合」等の意味もそちらでのべる。

ニュートン法

ニュートンの方法とも謂うらしいけれど、今ここではニュートン法と呼ぶことにする。これは一つの近似値計算の方法なんだけど、恐ろしく収斂が速いので、よく利用される。

区間 [a,b] に於て f''(x)>0,f(a)>0,f(b)<0 とすると、f(x) = 0 の根が区間 [a,b] に唯一つ存在する(根についてはf'(x)の単調増加性を考えるとよい)。この性質を利用して、次の漸化式を考案する。

a_{n+1} = a_n - \frac{f(a_n)}{f'(a_n)},\ \ a_1 = a - \frac{f(a)}{f'(a)}

この数列 an は有界で且つ単調増加。また極限は f(x) = 0 の根である。或いは今左から右へと考えたけど、f(a)<0 で f(b)>0 ならば、

b_{n+1} = b_n - \frac{f(b_n)}{f'(b_n)},\ \ b_1 = b - \frac{f(b)}{f'(b)}

という右から左へのbnの極限を考えることもできる。この場合は bn が単調減少で有界だから、収斂し、その極限が根となる。f''(x)<0の場合は、f(x)を-f(x)で置換すれば良い。

これをニュートン法と謂う。面倒なので證明は略。凸函数であることを利用すれば、有界性と単調性は明白なので、一寸考えてみると良い。

凹凸の意味

凸函数と呼ばれる物がある。任意の二点を結ぶと領域内に収まる物を凸函数と謂う。橢円函数なんかの閉曲線が典型だね(例:ドーナツ型の閉曲線ではこれを満たさないので凸函数ではない)。抛物線で「上に凸」だとか「下に凸」というのは、y=f(x) で表される抛物線がy > 0 領域で凸函数なのかy < 0 領域で凸函数なのか、これを表すともとれる。

こう考えてみると、凹凸が違った物にみえてこないでしょうか。「凸聚合」「凹函数」などに興味があれば、どうぞ。イェンゼンの不等式に相加平均、相乗平均、調和平均とかナ。

偏微分

詳しくは述べないけれど、多変数函数の場合、全ての変数をある変数に関して微分しようとすると、面倒である。ある変数に対しては定常的な函数では、その変数を「定数」と看做して微分するとよいのではないか、とするのが「偏微分」の著想である。なおこれに対して従来の微分を「全微分」と謂う。

z=f(x)+g(y),\ \frac{dz}{dx} = f'(x) + \frac{dy}{dx}\cdot g'(y)\\ \ \ \ \frac{\partial z}{\partial x} = f'(x),\ \ cf.\ dz = \frac{\partial z}{\partial x} \cdot dx + \frac{\partial z}{\partial y} \cdot dy

f(x) は多変数函数ではないので、x で全微分しても、x で偏微分しても同じ導函数を得る。偏微分で求めた微分係数は「偏微分係数」と謂う。偏微分して得られる導函数は「偏導函数」と謂う。z=F(x, y) と置くと、多変数函数 F(x, y) の x に関する偏導函数を求めたのが、上の式における二段目の計算であり、更にまた参照で示した関係を持つ。

例題:xy 平面上の曲線 \frac{x^2}{\cos^2\theta}-\frac{y^2}{\sin^2\theta}=1 の任意の点P(a, b)における接線を考察せよ。ただし0 < \theta < \frac{\pi}{2} とする。

ふと平成二十二年度の阪大の入試問題(前期数学理系)を見てたら思いついた例題。双曲線函数に似て居るけれど、「全微分」しようと思ったら、θ が変数であるから、厄介に思える。θ は任意であって、変数 x や変数 y と関連がないからだ。実際に大手予備校の示した解答案では、微分した解法例は見あたらないようだった。しかし θ の定義域からグラフの概形を考えてみると、x や y に無関係であることが逆に、凡そは一定であることを示し、定常的であることを伺わせる。グラフを双曲線函数とみなしてみると、(x,y) = (cosθ,0) で x 軸と交叉すると云った特性があるわけ。だから θ は定数であるとして偏微分的に解析すると、

\frac{d}{dx}(\frac{x^2}{\cos^2\theta}) = 2\frac{x}{\cos^2\theta},\\ \frac{d}{dx}(\frac{y^2}{\sin^2\theta}) = 2\frac{dy}{dx}\cdot\frac{y}{\sin^2\theta}

であるから \frac{dy}{dx}=\frac{x}{y}\cdot\tan^2\theta と解析できる。

y-b=\frac{a}{b}\cdot\tan^2\theta\cdot(x-a)

ここでは θ だけを定数と看做しているのがポイントであり、このような解釈によって、解析的に接線の方程式を考えることができる。このように偏微分した方が有用なパターンもあることが、何となくではあるが、御判りなったと思う。

詳しく書くとややこしいから、概念の導入の意味を以て、上の例題を示してみたけど、どうだっただろうか。実際の所、この偏微分という奴は、全微分を考え直す上で重要であって、実数に於る虚数みたいな、表裏一体の関係に位置する。興味があるなら参考書を探すべし。

テイラー級数

近似式を展開すると新たな近似式に繫がるらしいことは、「近似式の展開」で述べた。これらの事を一般化したのが、世に謂う「テイラー展開」「マクローリン展開」なのであって、実態は無限回微分による無限級数である。

f(x) = \sum_{n=0}^\infty \frac{f^{(n)}(a)}{n!} (x-a)^n

x = a 近傍で成立します。この冪級数が求まる函数を、テイラー展開可能な函数であるといって、多分に解析的であります。この利点は何と云っても容易に近似値を得られることでありますが、収斂には少し時間がかかるのであります。

f(x) = \sum_{n=0}^\infty \frac{f^{(n)}(0)}{n!}x^n

a = 0 の場合の特殊解を、特にマクローリン展開と謂うんですね。ちなみに上の「一次近似式」等は h = x - a と考えてやると求められる特殊解。a = 0 の場合も示してあるが、各がテイラー・マクローリンの関係にある。

\frac{1}{1-x} = \sum_{n=0}^\infty x^n,\ for\ |x| < 1

譬えば、この級数ぐらいは高校生でも理解できることでしょう。

参考:Taylor 展開(数理塾) - なんとなく計算を理解したいなら参照するべし。理学的正確性が欲しいなら参考書を探せ。

註:無限回微分が可能な函数は稀に思える。平均値の定理を有限回だけ適用した、すなはち、有限の級数の場合は、「剰余項」を有する。剰余項は若干の注意が必要で、平均値の定理にある様に、代入する x の値はこの場合 a と x の中間値となる。

高階導函数の公式

函数の積の微分、合成函数の微分の公式は知られてるけど、その高階導函数は面倒そう。これを一般化したのが Leibnizの公式、Faà di Bruno の公式。函数の積の微分の公式、Leibnizの公式は、二項係数を用いて表される。

\frac{d^n}{dx^n}\{f(x)g(x)\} = \sum_{k=0}^n \begin{pmatrix}n\\k\end{pmatrix} f^{(k)}(x) g^{(n-k)}(x)

合成函数の公式、Faà di Bruno の公式は、少し面倒だ。F(u)をu = Φ(x)とすると、

\frac{1}{n!}\frac{d^n}{dx^n}F(u) = \sum_{k=1}^n\sum_{i} F^{(k)}(u) \{\prod_{m=1}^n\frac{1}{i_m!}(\frac{\phi^{(m)}}{m!})^{i_m}\}

ただし條件 i は、

i_1 \ge 0,\ i_2 \ge 0,\ \cdots,\ i_n \ge 0,\ k = \sum_{m=1}^n i_m,\ n = \sum_{m=1}^n m\cdot i_m

を満たす数列 im を考える事を表す。

Leibnizの公式は兎も角、Faà di Bruno の公式は意味すらわかりづらいけど、要するに合成函数の高階微分の一般化がむづかしいと云うことで納得して欲しい。興味のある人は證明してみるとよい。

答:Faà di Bruno の公式の證明は、テイラー展開を利用する。x0 = Φ(u0)とする。先づ F を u に関して展開すると、F は (u - u0) を含む式となる。次に Φ を x に関して展開すると、Φ は (x-x0) を含む式となる。ここでΦ(x0)を移項して u - u0 をテイラー展開した式を得ると、F に代入する。そうすると(x-x0)のn乗を含む式を集めれば、それは F を x に関してテイラー展開した際の第n階微分項の係数に等しい筈だから、Faà di Bruno の公式を得る。

初等解析 - 積分篇

積分って概念は簡単なんだけど、体系的に纏めようとすると、世界観の相違っぽいのがあって、めどい。纏めるには暫くかかりそう。

積分法とは

積分法の利用

不定積分と定積分

註:問題が無い限り積分定数は C で統一する。C は任意の値であって、式の前後で必ずしも一致しない。

種々の積分

積分の性質

置換積分法

\int f(x) dx = \int \frac{dt}{dx}\cdot f(g(t))\, dt

不定積分では、x = g(t) な媒介変数の関係が連続で微分可能な時、t に関する積分として計算する事ができる。積分区間[a,b] で x に関して連続なとき、a = g(\alpha)\,\ b = g(\beta) を満たす新たな積分区間[α,β]で t に関して連続ならば、

\int_{a}^{b} f(x)\, dx = \int_{\alpha}^{\beta} \frac{dt}{dx}\cdot g(t)\, dt

定積分において、t に関する積分として計算する事ができる。区分求積法における積分では、

dx = \frac{dx}{dt}\cdot dt

が成立している。このような数式を微分形式と謂うが、これは \frac{dy}{dx} = \frac{dy}{dt}\cdot\frac{dt}{dx} と謂う合成函数の導函数において、両辺を積分して比較する過程に同じである。これを置換積分法と謂う。

部分積分法

\int f'(x)g(x) dx = f(x)g(x) - \int f(x)g'(x)\, dx

この不定積分は、ライプニッツ則 \{f(x)\cdot g(x)\}' = f'(x)\cdot g(x) + f(x)\cdot g'(x) を変形し、両辺を積分すると得られるが、これは積分の線型性から明らかである。

\int_{a}^{b} f'(x)g(x)\, dx = \Big[f(x)g(x)\Big]_{a}^{b} - \int_{a}^{b} f(x)g'(x)\, dx

定積分の場合、積分区間は不変であるから、積分の定義から上式のようになる。これを部分積分法と謂う。

例題:不定積分 \int x^2\sin x\, dx を解け。

積分の解法

微分にもまして積分では技巧的になる。まづ知らないとすぐには解けない。置換積分法、部分積分法、区分求積法(後述)はその尤も基礎的なテクニックであるが、これも万能ではない(「微分方程式の解法」参照)。積分できる函数は限られる傾向がある。

応用例題:不定積分 \int \frac{1}{\sqrt{x^2 + a}}\, dx を解け。

五分とか十分程度でいいから、今までやってきた知識を使って、解法を試みて欲しい。見た所解けそうであるが、解くに解けない事に気づかれることだろう。その解答は本節の最後に掲載することにする。

積分の準備

  • 自分の知って居る函数に帰著するように式を変形する。
  • 円函数は積和・加法定理等でなるべく冪の積分を避ける。
  • 無理函数は有理化する。有理函数は部分分数分解を行ってみる。
  • 奇函数や偶函数の定積分は、計算的「省略」が可能。

例題:\int \frac{dx}{1+\sin x} = \int \frac{1 - \sin x}{\cos^2 x}\, dx = \tan x + \int \frac{(\cos x)'}{\cos^2 x}\, dx = \tan x - \frac{1}{\cos x} + C が成立。「円函数の整理」「合成函数」等を利用。

例題:\int \log x\, dx = \int (x)'\cdot\log x\, dx = x(\log x - 1) + C が成立。「部分積分法」の典型の一つ。

なかなか解けたものではない事に気づかれる筈。慣れるしかない。算数ドリルみたいに適当な問題集の問題で、数学的計算力に磨きを書けないと、すぐに解けなくなってしまうから頑張らないといけない。だいたいこんなのは序の口に過ぎない。

例題:不定積分 I = \int e^x\sin x\, dx,\ J = \int e^x\cos x\, dx を夫々求めよ。

似たような問題を「部分積分法」で提示したが、こちらは消える函数がない。しかし周期性がある。「部分積分法」を利用すると、

I = e^x\sin x - J,\ J = e^x\cos x + I\\ \therefore I + J = e^x\sin x, -I + J = e^x\cos x

が成立するので、これを解いてやると、不定積分が得られる。

I = \frac{1}{2}e^x(\sin x - \cos x) + C,\\ J = \frac{1}{2}e^x(\sin x + \cos x) + C

勿論、二回部分積分を繰り返しても同じ結果になるのは明らかである。

複素解析への誘い

I = \int e^{ax}\sin bx\, dx,\ J = \int e^{ax}\cos bx\, dx

上掲の不定積分 I, J を更に一般化した式を考えてみる。部分積分法は以外の手法を用いれば、次の様にも求まる。

J + iI = \int e^{x(a + bi)}\, dx\\ = \frac{e^{x(a + bi)}}{a + bi} = \frac{(a - bi)(\cos bx + i\sin bx)e^{ax}}{a^2 + b^2}\\ = \frac{e^{ax}}{a^2 + b^2}\{(a\cos bx + b\sin bx) + i(a\sin bx - b\cos bx)\}

今、左辺と右辺の実部と虚部に著目すれば、簡単に不定積分が求まる。こういう手法もあると謂うことをさりげなく紹介したかったから、挿入した。この積分では、

e^{xi} = \cos x + i\sin x

と謂う複素解析の常識(オイラーの公式)を利用している。この様な計算方法を美しいと感じられたなら、解析学に於て複素解析を是非ともやってほしい(工学・電気系の人は必須だとは思うけど)。

部分積分の要諦

\int R'(x)logx\, dx

この不定積分は、R を微分可能な有理函数ならば(註:次の「有理函数」を参照)、必ず不定積分が求まる。

\int R'(x)logx\, dx = R(x)log x - \int \frac{R(x)}{x}\, dx

この様な手法において、特に、R(x) = x と解釈する例(logxの不定積分は、R'(x) = 1 と解釈する等)が見受けられる。また部分積分を何度も試行する内に多項式の次数を下げる目的を伴う事もある。部分積分は深くは触れないが、重要な手段なので、よく理解しておいて欲しい。

有理函数

多項式の函数は必ず積分できる。積分が線型性を有し且つ積分変数の冪乗は積分可能だからだ。では分母と分子に多項式を置く有理函数は積分できるだろうか。その答えは「可」である。しかし簡単ではない。その準備の為の面倒な部分分数分解の手法は補稿参照。

部分分数分解の結果得られる被積分函数は次の三通りでしかない。

\int \frac{1}{(x+a)^n}\, dx,\ \int \frac{x}{(x^2 + ax + b)^n}\, dx,\ \int \frac{1}{(x^2 + ax + b)^n}\, dx

これらの積分は、部分分数分解で得られる分数を、めいめい分解すると得られる筈である。最初の二つは容易に積分される。問題は最後の奴。これは漸化式を用いる解法がある。或いは部分積分を施してもよい。ここでは詳述しない。

ここで憶えておいて欲しいことは、初等的手段で積分可能な函数は必ず有理化可能で、置換積分等により有理函数の積分になると云うことである。

円函数

円函数で表される有理函数は、有理化可能、すなはち積分可能である。

t = tan \frac{x}{2},\ dx = \frac{2dt}{1 + t^2},\\ \cos x = \frac{1 - t^2}{1 + t^2},\ \sin x = \frac{2t}{1 + t^2}

高校生向けの問題集、オリジナル数Ⅲには掲載されていたので、知っている人は知っているかもしれない。これは円函数で表される有理函数を有理化する常套手段である。円函数だけの多項式を分子・分母にとる場合、この変換を施すだけで有理化できる。

\int F(\cos x,\sin x)\, dx = \int F(\frac{1 - t^2}{1 + t^2},\frac{2t}{1 + t^2})\, \frac{2dt}{1 + t^2}

式を見れば、瞭然として、有理化が完了したことを諒解できるであろう。しかしこの操作は面倒なので、次に示す簡約が知られる。

F(\cos x,\sin x) = f(\cos x) + g(\cos x)\sin x\\ f(\cos x) = \phi(\cos^2 x) + \psi(\cos^2 x)\cos x

F,f,g,Φ,ψ はいづれも有理式であるが、この操作は必ず実行できる。興味があるならば證明されたし(それとも補稿に加えようか)。この操作を行えば、g を t = cos x、ψ を t = sin x、Φ を t = tan x の置換で有理化できる。だいたい置換積分の訓練のうちに体得する技術だと思う。

無理函数(甲種)

分子か分母かで話は変わるが、一般的には円函数を用いる。或いは既知の原始函数を利用する。

F(x,y)を有理式とすると、\int F(x,\sqrt{ax^2 + bx + c})\, dx、は如何なる方法に於て有理化されるか。これは \sqrt{ax^2 + bx + c} = \sqrt{x^2 \pm p^2}, \sqrt{p^2 - x^2} なる形に変形させれば、円函数で有理化できる。変形は適当な一次変換で施す。譬えば、

\sqrt{(x-a)(b-x)} = (\frac{b-a}{2})\sqrt{1-t^2}

と謂う変形が x = \frac{b-a}{2}t+\frac{b+a}{2} に於てなされる。

\sqrt{x^2 + p^2} = \frac{p}{\cos\theta},\ \sqrt{x^2 - p^2} = p\tan\theta,\ \sqrt{p^2 - x^2} = p\cos\theta

有理化は x = ptanθ,psecθ,psinθ で実行できる。この時、根号を外すことが主眼にあるのであつて、不定積分の完成を意図しない。だからこのままでは見通しが悪いこともある。その場合は「円函数」で書いた様にして有理化するとよい。なお secθ を正割函数と謂い、cosθの逆数 \sec\theta = \frac{1}{\cos\theta} である。

無理函数(乙種)

搦め手で攻めて見よう。今度は、\int F(x,\sqrt{ax^2 + bx + c})\, dx を、無理式で置換して有理化する事を考える。その準備として判別式を用い実根か虚根かを判別する。結果として二種の積分に分けられる。

高等函数

ガウス積分は積分できない。対数積分は積分できない。無理函数の一種、橢円積分は積分できない。ここで云う積分とは初等的な函数を原始函数に取らないと云うことである。

他にも積分が知りたいのですが

豪儀な奴だ。「導函数」でも述べたけど、物事には限度って物があるのさ。まあとにかく、復習を兼ねて京大の過去問を解いてみてほしい。

応用例題:定積分 \int_{0}^{2} \frac{2x+1}{\sqrt{x^2+4}}\, dx を求めよ(平成19年京都/理系)。

流石と謂うべきか、高校生に必要な技巧の殆どを要求する問題。と言っても難解に過ぎるわけでもない。なので、答えだけを掲載する。

\int_{0}^{2} \frac{2x+1}{\sqrt{x^2+4}}\, dx = \int_{0}^{2} \frac{2x}{\sqrt{x^2+4}}\, dx + \int_{0}^{2} \frac{1}{\sqrt{x^2+4}}\, dx\\ \ \ \ \ \ \ \ \int_{0}^{2} \frac{2x}{\sqrt{x^2+4}}\, dx = \int_{0}^{2} \frac{(x^2+4)'}{\sqrt{x^2+4}}\, dx = \int_{4}^{8} \frac{dt}{\sqrt{t}}\, = [2\sqrt{t}]_{4}^{8} = 4\sqrt{2} - 4\\ \ \ \ \ \ \ \ \int_{0}^{2} \frac{1}{\sqrt{x^2+4}}\, dx = \int_{0}^{\frac{\pi}{4}} \frac{\frac{2}{\cos^2\theta}}{2\sqrt{\tan^2\theta+1}}\, d\theta = \int_{0}^{\frac{\pi}{4}} \frac{d\theta}{\cos\theta}\, \\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ = \int_{0}^{\frac{1}{\sqrt{2}}} \frac{\frac{du}{\cos\theta}}{\cos\theta}\, = \int_{0}^{\frac{1}{\sqrt{2}}} \frac{du}{1 - u^2}\, = \int_{0}^{\frac{1}{\sqrt{2}}} \frac{1}{2}(\frac{1}{u+1} - \frac{1}{u-1})\, du\\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ = \frac{1}{2}[\log|u+1| - \log|u-1|]_{0}^{\frac{1}{\sqrt{2}}} = \frac{1}{2}\log(1+sqrt{2})^2 = \log(1+sqrt{2})\\ \ \ \ \therefore\ \int_{0}^{2} \frac{2x+1}{\sqrt{x^2+4}}\, dx =  4\sqrt{2} - 4 + \log(1+sqrt{2})

これが解答なわけですが、解けましたでしょうか。解けた? ふむ、宜しい。よくぞこの問題を解いてくれた。数学Ⅲ の教科書を買う権利をやろう!!

さて。実はこれ、「積分の解法」で示した応用例題の解答でもあるのです。解法の一つに、喩えば大阪府立大学が出題した問題の一部(平成22年/中期)に次のような物があります。

t = \log(x + \sqrt{x^2 + a}),\ \frac{dt}{dx} = \frac{1 + \frac{2x}{2\sqrt{x^2 + a}}}{x + \sqrt{x^2 + a}} = \frac{1}{\sqrt{x^2 + a}}

この問題は、t の x に関する導函数を求めるものでしたが、

\int \frac{dx}{\sqrt{x^2 + a}} = \log(x + \sqrt{x^2 + a}) + C

上の不定積分を示唆してますな。府大の問題は、これを利用し最終的には定積分の大小を比較する物だったのですが、京大の問題は実力で計算しきる能力を要求してくるわけです。勿論、十分定積分可能な値であると謂う調整が成されてるわけですが、この解法で不定積分が求まらないわけではありません。

u = \sin\theta,\ x = \sqrt{a}\tan\theta,\ \int \frac{dx}{\sqrt{x^2 + a}} = \frac{1}{2}\log\frac{1+u}{1-u} + C,\\ \ \ \ \ \frac{1+u}{1-u} = \frac{1+\sin\theta}{1-\sin\theta} = \frac{(\sin\theta+1)^2}{\cos^2\theta} = (\frac{\sin\theta + 1}{\cos\theta})^2 = (\tan\theta + \sqrt{\tan^2\theta + 1})^2\\ \ \ \ \ \ \ \ \ = (\frac{x}{\sqrt{a}} + \sqrt{(\frac{x}{\sqrt{a}})^2+1})^2 = \frac{(x + \sqrt{x^2 + a})^2}{a},\\ \ \ \ \log\frac{1+u}{1-u} = 2t - \log a\ \ \therefore \int \frac{dx}{\sqrt{x^2 + a}} = t + C

長くなりましたが、最後に log a を積分定数に放り込んでしまえば(註:積分定数は式を整理する目的にも利用される)、府大が出題した不定積分と同じになりますね。ところで、一部の人は対数函数の並びを見て知っているかもしれませんが、a = 1 の時、 t にはある函数が与えられています。

t = \cosh^{-1} x \ (a = 1)

これは逆双曲線函数です。双曲線函数は「導函数」で言及したけれど、その逆函数が、逆双曲線函数です。不定積分には、このように双曲線函数に関するものや、逆円函数、逆双曲線函数に関するものまであるから、必要なら憶えておくといいでしょう。

積分方程式の微分法

区分求積法

\lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} \sum_{k = 1}^n f(\frac{k}{n}) = \int_{0}^{1} f(x)\, dx\\ \lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} \sum_{k = 0}^{n-1} f(\frac{k}{n}) = \int_{0}^{1} f(x)\, dx

定積分の大小

求積法

面積

体積

微分方程式

補稿

部分分数分解

代数学の基本定理を利用する。

曲線の長さ

速度と道程

数学Ⅲでは函数x=f(t), y=g(t)を与えた時に(x,y)がとる軌跡の道のりLは

L=\int_{a}^{b} \sqrt{(\frac{dx}{dt})^2+(\frac{dy}{dt})^2}\, dt=\int_{a}^{b} \ sqrt{\left\{f'(t)\right\}^2 + \left\{g'(t)\right\}^2}\, dt

L=\int_{a}^{b} |\vec{v}|\, dt

変数分離法

取り尽くし法

微分方程式の解法

重積分

多変数函数の積分。いろいろ複雑。

積分の拡張

ルベーグ積分:連続性によらない積分。積分や微分では、今まで連続性を利用する物ばかりだったけど、連続でなくても積分できる条件がある。譬えば Cantor 函数。