*Grass [#v6c37ba3] #contents *Grass is a grass-planting programming language. [#c1f9ef3f] Grassは「ちょっと草植えときますね型言語」である。Grassがどういう言語か理解するには、実際の譜例を見るのが早いだろう。以下はGrassで書かれた(あまり洗練されていない)Hello worldである。 wwvwwwWWWwwWwwWWWWwvwWWwwwWwwvwWwwwWwwvwWWwWWWWWwvwWWWwwwwWWWWwWWWWwWW WWWWwWWWWWWWwWWWWWWWwWWWWWWWWwWwwwwwwwwvwWWWwwwwwWWWWWwWWWWWwWWWWWWWwW WWWWWWWwWWWWWWWWWwWwwwwwwwvwWWWWwwwwwwWWWWWWwWWWWWWwWWWWWWWwWWWWWWWWWw WWWWWWWWWwWwwwwwwwvwWWWWWwwwwwwwWWWWWWWwWWWWWWWWwWWWWWWWWwWWWWWWWWWWwW WWWWWWWWWwWwwwwwwwvwWWWWWWWwwwwwwwwWWWWWWWWwWWWWWWWWWwWWWWWWWWWwWWWWWW WWWWWwWwwwwwwvwWWWWWWWWwwwwwwwwwWWWWWWWWwWWWWWWWWWwWWWWWWWWWWWwWWWWWWW WWWWwWWWWWWWWWWWWWwWwwwwwwwvwWWWWWWWWwwwwwwwwwwWWWWWWWWWwWWWWWWWWWWwWW WWWWWWWWWwWWWWWWWWWWWWWwWwwwwwwvwWWWWWWWWWWwwwwwwwwwwwWWWWWWWWWWwWWWWW WWWWWWwWWWWWWWWWWWWWwWwwwwwvwWWWWWWWWWWwwwwwwwwwwwwWWWWWWWWWWWWwWWWWWW WWWWWWWwWWWWWWWWWWWWWWwWWWWWWWWWWWWWWwWWWWWWWWWWWWWWWWwWwwwwwwwvwWWWWW WWWWWwwwwwwwwwwwwwwwwwWwwwwwwwwwwwwwwwwwwwWWWwwwwwwwwwwwwwwwwwwwWwwWWW WWWWWWWWWWWWWWWWWwvwWWwwwwWWWwwwwwwwwwwWWWWwwwwwwwwwwWWWWWwwwwwwwwwwww wWWWWWWwwwwwwwWWWWWWWwwwwwwwwwwwWWWWWWWWwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwvwWWWWWW WWWWWWWWWWwwwwwwwWwwvwWWWWwwwwwwwWWWWWwwwWWWWWWwwwwwwwWWWWWWWwwwwwwwwW WWWWWWWwwwwwwwwwwwwwwWWWWWWWWWwwwwwwwwwwwwwwvwWWwWWWWWw *言語仕様 [#yb41e241] **はじめに [#k25789b9] もし「ラムダ計算」や「操作的意味論」という術語になじみがあるなら、[[Grassの公式サイト:http://www.blue.sky.or.jp/grass/doc_ja.html]]を参照した方が、この記事を読むよりも早く、正確な理解が得られるだろう。この記事は、関数型言語の経験のない人を想定して書く。 **プログラムの構造 [#sea007fe] Grassのプログラムは、関数抽象(要するに関数の定義)と関数適用(関数の呼び出し)が並んだ形をしている。関数抽象は、仮引数の宣言と、本体である関数適用の列から成っている。見た目の割に常識的な構造になっていることが分かると思う。 まず関数適用から見てみよう。 **関数適用 [#m484d3fd] 関数適用の構文は以下の通り。 WWW...(m個)...WWWwww...(n個)...www (ただしm,nは1以上) つまり、一個以上のWの後に一個以上のwが続く形をしている。具体的にはWwwwとかWWWwwとか。 正式な構文はこの通りだが、このままでは余りに読み難いので、この記事ではこれをApp(m, n)と略記する。だからWWWwwはApp(3, 2)と書く。 さて、App(m, n)の意味は、「m個前に定義された値を、n個前に定義された値に適用する」だ。手続き型言語の言葉に直すと、「n個前に定義された値を引数として、m個前に定義された値を呼ぶ」となる。「値を呼ぶ」というのを不自然に感じるかもしれないが、後で分かるようにGrassの値は基本的に全て関数なので、それを呼んでいるだけだ。 「n個前に定義された値」とはどういうことかというと、それはGrassの変数の扱いに関連している。Grassの変数は全て無名である。名前が無いので、変数を参照するにはその位置を指定するしかない。具体的には、関数適用の書かれている場所を起点として、その直前で定義された変数を1番、その前を2番、などと参照する。 関数適用が書かれると、それに付随して一つの変数が暗黙に定義され、適用の結果(呼び出しの戻り値)がその変数に保存される。もちろんこの変数も無名である。これによって新しい変数が増えたので、以降の関数適用では変数の番号が一つずつ繰り上がる。 例として、次のような関数適用の並びを考える。 WWWWWWWWwwwwwwwWwWww 略記法で書くと、 App(8, 7) App(1, 1) App(1, 2) これは、JavaScriptで言えば次のようなコードに対応する。 var a = ???(???); var b = a(a); var c = b(a); ???の部分には前に定義された何らかの変数の名前が入る。 **関数抽象 [#w11dab28] 次は関数抽象(関数定義)を見よう。構文は以下の通り。 www...(n個)...www 関数適用* (ただしnは1以上) つまり、wが一個以上続いた後に関数適用が0個以上続いたものが関数抽象だ。例としてはwWWwWWWwとか、wwwWwwとか、wwwwwといったものが考えられる。 最初のwの並びの部分は仮引数の指定に対応している。といっても引数の数だけwを並べるだけだ。例によって仮引数はすべて無名で、第一引数から順に並ぶ。だから最後の引数が最も若い番号で参照されることになる。 これに続く関数適用の並びは関数の本体で、関数が呼ばれたときに左から順番に実行される。関数の戻り値は、一番最後に定義された変数の値になる。つまり、関数本体が空でない場合は本体の最後の関数適用の結果が返り、空の場合は最後の引数がそのまま返る。 関数適用の場合と同様に、関数抽象一つにつき一個の変数が暗黙に定義され、作られた関数がそこに保存される。 例として、次の関数抽象を考える。 wwwWWWwWWWwwWWw 略記法で書くと、 www App(3, 1) App(3, 2) App(2, 1) JavaScriptで考えるとこれは次のような定義に対応する。 var g = function(a, b, c) { var d = a(c); var e = b(c); var f = d(e); return f; }; *リンク [#m0750be8] [[公式:http://www.blue.sky.or.jp/grass/doc_ja.html]]