数学 > ベクトル

概要

ベクトルは、向きと大きさを持った量のことです。
物理や画像処理をはじめ、様々な分野で利用されています。 高校あたり?で習うので、すでに知っている方も多いでしょうし、 2D,3D処理においては四則演算並に基本事項です。
グラフィック処理の必要なゲームなどを作る場合、必須の知識といっても過言ではありません。

ベクトルの表現

ベクトル

ベクトルは適当な名前の上に→を付けて&mimetex(\vec{a});などと表現します。
(他にも様々な表現があり、専門書などでは太字&mimetex(\mathbf{a});で表現するものが多いです。)

数ベクトル

数ベクトルとは、数値を縦または横に並べた、行列の一種です。

#mimetex(\vec{a} = ( a \quad b \quad c)); のように横に並べたものを、行ベクトルまたは横ベクトル。

#mimetex(\vec{a} = \begin{pmatrix} a \\ b \\ c \end{pmatrix}); のように縦に並べたものを、列ベクトルまたは縦ベクトルと呼びます。 CGの分野では行ベクトル、数学の分野では列ベクトルがよく使用されます。 一応、CG系?ということで、ここでは行ベクトルを使用します。特に断りがなければ以降、ベクトルは行ベクトルを指します。

ベクトルの2点による表現

ベクトルは2点間を結ぶ線分として表すことができます。

点P→点Qによって表される線分のベクトルを&mimetex(\vec{PQ}); と表現します。
また、&mimetex(\vec{PQ});を数ベクトルで表現することができます。
2点の座標を、

#mimetex(P(p_1,p_2)\\ Q(q_1,q_2)); とすると、

#mimetex(\vec{PQ} = ( q_1-p_1 \quad q_2-p_2)); となります。

ノルム

ベクトルは方向を持つと同時に大きさ(長さ)も持ちます。ベクトルの大きさをノルムといい、
&mimetex(\vec{a});のノルムを&mimetex(\mid\mid \vec{a} \mid\mid);と表します。
大体一般的には、実際の計算は二乗して足してルート!平面、立体における原点からの距離の計算と一緒です。
&mimetex(\vec{a} = (1 \quad 2 \quad 3));だったら

#mimetex(\mid\mid \vec{a} \mid\mid = \sqrt{1^2+2^2+3^2} = 3.7417); です。
特にユークリッドノルムや2-ノルムと言います。(他に変なのもあるわけだ)

ベクトルの演算

要素

ベクトルの実際の数値部一つ一つを要素といいます。
(1 2 3)
だったら
1 と 2 と 3 はそれぞれ(1 2 3)の要素。
(a_1 b_1)
だったら
a_1, b_1はそれぞれ(a_1 b_1)の要素です。

スカラー

ベクトルでない通常の数値をスカラーと呼びます。1とか2とか3ですね。(1 2)はベクトル。
ベクトルの一つ一つの要素はスカラーともいえますね。

加減算

ベクトル同士の演算です。
単純に各要素を加算(減算)するだけです。
&mimetex((a_1 \quad a_2 \quad a_3) + (b_1 \quad b_2 \quad b_3) = (a_1+b_1 \quad a_1+b_2 \quad a_1+b_2));
&mimetex((a_1 \quad a_2 \quad a_3) - (b_1 \quad b_2 \quad b_3) = (a_1-b_1 \quad a_1-b_2 \quad a_1-b_2));

乗算除算

乗除算はスカラーとベクトルの演算で、ベクトル同士を乗算除算することはできません。
各要素にスカラーを乗算(除算)します。
&mimetex(3(a_1 \quad a_2 \quad a_3) = (3a_1 \quad 3a_1 \quad 3a_1));

内積

ベクトル同士の演算です。演算結果はスカラーとなります。 2つのベクトルのなす角を&mimetex(\theta);としたとき、

#mimetex(\vec{a}\cdot\vec{b} = \mid\mid a \mid\mid \mid\mid b \mid\mid cos\theta); という演算です。
または、数ベクトルの要素を使って

#mimetex(\vec{a} = (a_1 \quad a_2 \quad a_3), \vec{b} = (b_1 \quad b_2 \quad b_3)); とすると

#mimetex(\vec{a} \cdot \vec{b} = a_1b_1 + a_2b_2 + a_3b_3); で計算することができます。

面積への応用

二つのベクトルの成す角θのcosθがわかるので、sinθもまた判明する。従って、ベクトルの大きさから面積もすぐに算出できる(cf.三角函数)。ベクトル成分から面積を算出できる公式があるので参照。

ベクトル方程式

ベクトルで一番大事な分野であると私は思っている。ベクトル方程式は、ベクトルを方程式(線形なぞ)へと拡張する手がかりの一つである。

ベクトルは線分のように直線の向きで表す。であるならば、方程式と同じ様にxy座標の図形を表す事が出来るのではないかとして、ベクトルで方程式を表すのがベクトル方程式である。

位置ベクトル

点Aの座標ベクトル成分とした位置ベクトルをA(&mimetex(\vec{a});)という表現等であらわし、これは&mimetex(\vec{OA});(Oは原点)に等しい。点Bの位置ベクトルを定めれば、ABのベクトルなどを簡単に表現できる。

内分・外分点の位置ベクトル

点Aと点BをA(&mimetex(\vec{a});)、B(&mimetex(\vec{b});)、としてその内分点と外分点の位置ベクトルを考える。m:nに内分・外分する点をおのおの点P、点Qとすれば、その位置ベクトルはP(&mimetex(\frac{n\vec{a}+m\vec{b}}{m+n});)、Q(&mimetex(\frac{-n\vec{a}+m\vec{b}}{m-n});)、とできる性質がある。

ベクトル方程式の表現

表したい線分をy=ax+bとでもして、これの向いてる方向を方向ベクトル&mimetex(\vec{p});と定義して、それの通過する点A(&mimetex(\vec{a});)を一つ定めれば、方程式として機能する。
すなはち、y=ax+b は &mimetex((x,y)=\vec{a} + t\vec{p});(tは媒介変数、スカラー量)とできる。このベクトルは、y=ax+b に動点Pを考えた際の位置ベクトルに等しいことに注目して欲しい。

線分に垂直な方向ベクトルを考えた場合、これを法線ベクトルと呼び、方向ベクトルよりも算出しやすい。一次方程式は ax+by+c=0 で表すことができるけれども、この場合に法線ベクトル&mimetex(\vec{n} = (a,b));と定まる。方向ベクトルはこれに垂直なので内積を考えれば(b,-a)または(-b,a)などに定まる。


トップ   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS