入門編に目を通して呉れた諸君に、詳細なことを書き付けたページ。政治的な事から、數學的實裝、法律、日本での諸制度をネタに、理解を深めるページです。
凡そ三つの文字體系についてふれます。
世界史の印歐語族(ゲルマン系)。基本的にラテン文字を擴張した感じの文字體系で、日本では英語の「イロハ」が一番有名。ABCは日本では英語風にエービーシーとするが、ドイツならアーベーツェー、フランスならアベセ、と多種多樣。これらは皆、ラテン語が諸語として訛り、且つ諸民族母語が混ざつたためとも云はれる。
世界史のセム語族。はつきり言つて、我々には歐文以上に理解不能の文字であり、歐洲でもそのやうに考へられて居る獨得の文字。
でも分りやすい例外にアラビア數字がある、と思ふ君、「アラビア數字」は正しくは「(アラビアに傳はつた)インド數字」であり、「アラビア數字」は別にある。「一」に對する「イチ」と「ひ(とつ)」の違ひだ。
世界史のシナ語族。滿洲語のやうに全く違ふ文字も見受けられるが、基本的にモンゴロイドの文化圏で影響の強かつたシナの文字である(滿洲人の帝國である大清帝國では滿洲語と支那語を兩用した)。金文が秦・始皇帝の時代に制定されたので、シナ文字と呼ぶのがふさはしい。南は渤海を越えて越南(ベトナム)、東は日本海を越え日本、・・・と文字としては廣く傳播した。
日本の大和民族やアイヌ、琉球は系統不明だけれど、漢字以外の文字を使用した痕跡は遺つてないので、今は考慮しない。
象形文字に始まり、それを抽象的に用ゐた。秦以前にも地域毎に色々な文字があつたやうだが、始皇帝が焚書などしたので、金文以外の「シナ」の文字は消失した。古くはラテン文字とキリル文字程度の差があつたはづ。
殷(商)の殷墟より前、神代の五千年近く前から甲骨文字はあるのに、日本では見つかつて無いのは不思議と言はざるを得ない。日本人はどこからきたのだらう。
單純な文字。「山」など。尤も複雜なのは「龜」などか。「龜」の字にはカメの手足と甲羅、顔が確りと描かれてあり、何となく可愛い。
象形文字は名詞的であり、名詞を形容詞ぽく抽象的に用ゐて「造字」した。「造字」には「部首」と「音符」といふ考へがある
小學校からの漢字學習で扱ふが、今迄一度も認識した事が無いなら猛省すべきである。漢字は「部首」と「音符」を理解すれば簡單に音や意味が類推できるやうになる。すなはち字源から語意を考察する。
部首は字の意味を、音符は發音を擔當する。「當」を音符とする蟷螂(カマキリ)の「蟷」は、「當」と同じ「音」を有し、「タウ(トウ)」とする。「虫」偏であるから、蟲を意味することがわかる。「當(当)」の字は、「常」「黨(党)」などと同じ音符「尚」を有し、部首はそれぞれ「田」「巾(キン;布のこと)」「黑」を有する。「党・黨」は「亘・亙」や「豊・豐」のやうに別の意味の漢字だが、当用漢字では一緒くたにされた。ちなみに「党・黨」「亘・亙」「豊・豐」の意味の差は次の通り。
字音假名遣ひを御存知か。「平塚らいてう」の「らいてう」の部分である。これは「雷鳥(らいてう)」の字音である。
發音は字音假名遣ひを見れば古形がわかる、なかなかのシステムである。幾つか例を擧げる。
古典でわけのわからない假名をみたら、大概字音假名遣ひである(例として"らうたげ"など)。
日本では時代によつて支那へと遣唐・遣隋使などが派遣されたので、彼らが持ち歸つた樣々な「音讀」がある。これを傳播した時代や地域から「唐音」「漢音」「呉音」など呼び習はす。「天皇」と「上皇」の「皇」の發音の違ひは、ここにあり、前者は呉音で後者は漢音と云はれる(註:別説で天皇は天王の轉とも云はれるが、北辰、則ち北極星の神たる天皇大帝を語源とするのが一般的)。「皇」は呉音が「ワウ」、漢音が「クワウ/クヮウ」であり、「テンワウ」の「ノ」の音は「テン」のンに引き摺られた物か。
萬はよく遣ふわりには「マン」の音は日本の慣習的な發音となつてゐて、呉音は「マウ」漢音は「バン」である。
發音にも色々あつて、日本では日本らしく、支那では支那らしく、朝鮮では朝鮮らしく、越南では越南らしく、と變化した。最早別物であり、コード體系で發音を考慮するなら、どれを參照するのかはよく考へなくてはならない。
常用漢字に移行。
原則廢止。北朝鮮や韓國では漢字を使用する時は、印刷標準字體(康煕字典體)になる。これは日本や中共や樣に新たに簡略字體を定めなかつたため。