IronPythonはスクリプト言語Pythonの.NET Framework上での実装です。 なので、言語自身の特徴としてはPythonと似ています。 IronPython独自の特徴として
などがあります。これらの特徴は「.NET Framework上で動作する」ということに起因します。 少し駄目な点として
とはいえ、Python2.5と2.4はいくつか構文が追加された程度でほとんど変わりませんし、 ライブラリについては膨大な.NET Frameworkのライブラリにアクセスできるのであまり気にする必要はありません。 さらに、現在も精力的に開発が続いているため、上記の欠点(というほどでもないですが)もしだいに改善されていくでしょう。
興味を持ってもらえたでしょうか。 ここまで余り興味を持てなかった人も、「すごさを体感しましょう」の項まで進めば、きっとIronPythonのとりこになるはずです。
さあ、IronPythonでプログラミングにチャレンジしてみましょう!
IronPythonは実行に.NET Frameworkが必要です。まだインストールいていない方はインストールしましょう。
1.1では.NET Framework 2.0のみの対応。2.0では.NET Framework 2.0と3.0に対応。
2.6.1では.NET Framework 2.0 SP1~3.5対応のものと4.0対応のものが用意されています。
それ以降のバージョン(2.6.2及び2.7)では.NET Framework 4.0でしかきません。
Monoでも動きます。
すでにインストールしてある方は次のIronPythonのダウンロードとインストールにすすんでください。
.NET FrameworkはWindows Update(またはMicrosoft Update)からインストールするか、自分でインストーラをダウンロードしてインストールします。
以下はx86の方向け(つまり、ほとんどの方向け)の説明です。64ビットWindowsを使用している方は、注意してください。
Iron Pythonをインストールしましょう。まずはダウンロードです。IronPythonの開発サイトからダウンロードページに進み、IronPython-1.1-Bin.zipをダウンロードします。 続いてインストールです。といってもただダウンロードしたzipファイルを解凍して、出てきたフォルダ「IronPython-1.1」ごとわかりやすい場所に置くだけです。 とりあえず、C:\にでも置きましょう。今後はC:\に置いたものとして(つまり、IronPythonのフォルダへのパスはC:\IronPython-1.1)説明します。
パスとはファイル、フォルダのアドレスのことです。 例えばマイドキュメントのパスはC:\Document And Settings\ユーザー名\My Documentです。 IronPythonのフォルダがWindowsのファイル検索対象に入るように、環境変数にIronPythonフォルダのパスを追加しましょう。
ipyと入力して「OK」を押します。コマンドプロンプト(黒い画面のウィンドウ)が起動して
IronPython 1.1 (1.1) on .NET 2.0.50727.42 Copyright (c) Microsoft Corporation. All rights reserved. >>>と表示されていれば成功です! コマンドプロンプトはそのまま閉じてしまってかまいません。
フォルダごとゴミ箱に捨てて、設定したパスを削除しましょう。これでアンインストールは完了です。
実際に動かしながら、IronPythonのすごさ、面白さを体感してみましょう。 題材は対話型シェルを使ったGUIアプリケーションの作成です。 入力するスクリプトは説明を読んでも意味がわからない部分が多いでしょうが、あまり気にせず、とりあえず書いてある通りに入力してください。
以下のチュートリアルとは少し違う内容の動画です。
ダウンロードするか直接実行してください(ただのフラッシュ視聴用のhtmlファイルです)。フラッシュ動画本体は
です。
それでははじめましょう。コマンドプロンプトを起動して
ipy
と入力し、対話型シェルを起動します。 続いて、ちょっとしたおまじないをかけます。 何も考えずに
>>> import sys >>> sys.path.append(r'C:\IronPython-1.1\Tutorial') >>> import winforms
と入力してください。次はGUIアプリケーションを製作するためのおまじないです。
>>> import clr >>> clr.AddReference('System.Windows.Forms') >>> from System.Windows.Forms import *
と入力してください。
さあ、ここからが本番です!
>>> form = Form()
と入力してください。 FormはSystem.Windows.Forms.Formのことで、いわゆるGUIのウィンドウです。 上の一文でFormを作成したことになるのですが、Formは作成しただけは表示されません。表示してみましょう。
>>> form.Show()
と入力してください。Showの意味そのままに、ウィンドウが表示されます。 デスクトップに表示されなくてもタスクバーにはちゃんとありますので、タスクバー上のタイトルのないウィンドウをクリックしてください。 デスクトップに表示されます。 これだけでもしっかり最大化や最小化、サイズの変更などに対応していますが、さすがに味気ないですね。
ということで、とりあえずタイトルを追加してみましょう。
>>> form.Text = 'IronPython GUI Test'
と入力してください。ウィンドウのタイトルにIronPython GUI Testと表示されましたね。 タスクバーのウィンドウにも表示されていますので確認しましょう。
続いて、ウィンドウにボタンを設置してみましょう。
>>> button = Button() >>> form.Controls.Add(button)
と入力してください。 ウィンドウの右上にボタンが設置されます。 ただ、やはり味気ないのでボタンの内側のテキストを設定しましょう。
>>> button.Text = 'Click Me!'
と入力してください。「Click Me!」ボタンになりす。
今のままではボタンを押してもなにも起きないので、ボタンをクリックしたときの動作を設定しましょう。
>>>def ButtonClick(sender, event): ... MessageBox.Show('Hello IronPython World!') ...
と入力します。最後の行は改行のみの行です。続いて
>>> button.Click += ButtonClick
と入力します。ボタンをクリックしてみましょう。 Hello IronPython World!と書かれたメッセージボックスが出てきます。
どうでしたか? 準備はつまらないですが、ウィンドウを操作するのはなかなか楽しかったのではないでしょうか。こんなことが簡単にできちゃうのがIronPythonのすごいところです。